彼の愛したケーキ職人
12月28日。
仕事納め。
こっそりと抜け出して映画を見て帰宅。
イスラエルの映画。
ひとりの男を愛した男女の物語と聞いて、きらきらひかるのような世界を想像してしまっていたために、予想を外す。
断片的な記憶を見ているようで、ストーリーが丁寧につながっているわけではなくて、置いていかれる気分でもあるのだけれども、そこはもう。
今の日本ではストーカー扱いされる可能性もあるような主人公の行動。
だけれども、とてもよくわかる。
唯一結婚をしたいと思った子に振られた時に、似たようなこと考えたし。
愛した人の足跡をたどって、その人と一体化するような気持ちはよくわかる。
側からみたらヤバいやつ。
だけど、とてもとてもよくわかる。
別れて10年間忘れられなかったあの子のことを思い出す。
今再開してもどうにもならないし、戻りたいわけではない。
ただ今となっては切ないだけの思い出。
そして、奇しくもその日はその子の誕生日。
そして、その子と同化するかのように生まれたもうひとりの自分の誕生日。
そんな2018年の年末。
あの子は元気でやっているのだろうか。